切り株

 

今の家に引っ越して来たら、庭に小さな桜の木があった。

 

私は密かにその桜が咲くことを楽しみにした。

 

少し大きくなった桜の木を見て、今年の春は花を咲かせるかなぁとワクワクしていた。

 

そんなとき、三男が庭の草むしりや、切り株を抜くアルバイトをしたいと言ってきた。

 

わが家は働かなければお金はもらえないと子どもたちが小さい頃から言っていた。

 

つまり、三男は臨時のお金が必要になった。

 

草を入れるゴミ袋を渡し、私は出かけた。

 

ちなみに三男は中学生。

 

帰ってきて、庭を見て愕然とした。

 

桜の木が切られて、切り株状態になっていた。

 

当然、三男を詰問した。

 

「その木、じゃまだったから切った」というお返事。

 

もちろん、散々怒った。

 

と言うより悲しかった。

 

 

花を見たい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に楽しみにしていたのだ。

 

それが無残にも切り株と化した。

 

それからしばらくすると、桜の木はヒョロヒョロの枝が3本伸びてきた。

 

ある日、その中の一本だけ残して、後の2本を切ることにした。

 

すると1本だけになった枝はどんどん大きくなって行った。

 

そして、まだまだ小さい木でありながらも、少しだけ花を咲かせるようになった。

 

そして、今ではかなり大きくなり、毎年美しい花を咲かせる。

 

河津桜なので、まだ、寒いこの時期に満開になる。

 

毎年、満開に咲き誇る桜を見ながら、切り株になってしまったことを思い出す。

 

あのとき、わたしは確かにあきらめた。

 

でも、反面、桜が咲き誇る姿を見たかったと強く思った。

 

一回あきらめたのに

 

もう、この桜の花は見れないと思ったのに

 

わたしの思いとは別に、桜はたくましく成長した。

 

花を咲かせた。

 

毎年、毎年思うのですよ。

 

あきらめたらいけない。

 

花を見たいんだったら

 

あきらめない❣️