ケントが家をでるとき

ケントは二十歳のときに男友だちと二人で生活するために家を出たことがある。
出て行く前にとんでもないことがあり、大暴れだった。
それもなんとか解決し、出て行く直前に、ケントが言ってくれたこと。
「おれのお袋はお袋にしかできねー」
高校生のときも同じようなことを言っていた。
「普通の人間にはおれは育てられねー。お袋は普通じゃねーからおれを育てられたんだ」
誉められているのか、けなされているのかどっちよって感じだけど……

ケントは自分でも大変なやつだということは分かっているみたいだ。
一番辛いときはケントが入院してくれたらどんなに楽かと真剣に思っていた。
実際、ドクターからは入院を勧められていた。
入院を勧められるくらいだから、けっこうひどかった。

発達障害の講演

私の講演を聞いたことがある人は知っていると思うけど、私は苦しかったときのことをあまり話さない。
「発達障害の講演だから、暗い感じを想像してたら、やたら明るくて、びっくりした」とか言われる。
私だって、耐えられなくて大泣きしたり、苦しくて夫に「もう嫌だ」と言ったことだってある。
ちなみにそのときに夫が言ったことは「じゃー お母さんやめる?やめてもいいんだよ」だった。
私の返答は「誰がやめるか~~!! やめてたまるか~!」だった。
どうやら私の気の強さと、いい加減と楽天的な要素が相まってなんとかやってきたのだと思う。

失敗したり、泣いたり、わめいたりカッコ悪いことだらけだった。
あんまり誇れることはない。
ちょっと誇れるのはあきらめなかったこと。
「ママはケントのこと、あきらめないからね」何度もケントに言った。

あきらめなかったら、ケントは立派なおとなになった。
幸せなおとなになった。

決してあきらめないこと。
手放さないこと( ̄ヘ ̄メ)\(゜o゜;)/