ケントの存在

講演のときに、兄弟仲はどうでしたか?と聞かれることがある。

兄弟仲は良くなかった。

トルネードケント炸裂だったから、弟たちは辛い思いをしていたと思う。

ゲームをやっても自分が負けそうになると、弟をぶん殴る、もしくは蹴り飛ばす。

弟はたまったものではない。

痛い思いをしたくないし、上手にケントの誘いから逃げるようになった。

だからと言って、次男、三男が仲が良かったのかと思いきやそんなこともなかった。

むしろ三男は、ケントや次男の友だちが遊びに来ると一緒に楽しそうに遊んでいたけど、兄弟だけになるとそんなに遊んでいなかった。

とにかく、弟たちにとって、ケントは恐ろしい存在だったと思う。

高校生くらいになると、弟にラーメンを作らせておいて、「遅い!」と言って蹴ったりしていた。

親としても情けなくなるくらいケントは、自分勝手で、横暴だった。

そんなふうだったから、兄弟ゲンカにはならず、ひたすらケントが弟たちに好き勝手に振る舞っていた。

次男はいつしかケントを怒らせないように、上手に接するようになった。

次男が誰に対しても、びっくりするくらい、気を使うのはこの経験の影響があるようだ。

三男は、かわいそうにケントが怒ると、貧血を起こして、顔は真っ青、立っていることもできない。

辛かったと思う。

罪滅ぼし

ケントは大きくなって、弟たちに申し訳ないことをしたと思ったようで、兄弟の中の誰よりも、他の兄弟のことに思いがあるようだ。

よく、「罪滅ぼしだ」と言いながら、弟たちの世話をやく。

もちろん、嫌がられているけど……

結論として、わが家は兄弟仲は良くない。

そして、ケントは誰にもゲームの相手をしてもらえないから「おふくろ、ゲームやろうぜ」と言って、ゲームなんか大嫌いだし、できない私を仕方なしに誘っていた。

夜中にポソポソしゃべりながら、勝負にもならないゲームをケントとやったのは、今思えば、良い思い出だ。

こういうことを講演の中で話すと、なぜか皆さん安心したような、笑顔になる。

つまり、多くの方が子どもたちの、兄弟仲の悪さや、日々のケンカで心を痛めているのだと思う。

もちろん、仲が良いに越したことはないけれど……

まー こんなもんです( ―  )