母の懺悔

 

もう10年くらい前かな?

 

実家にお正月かなんかでみんなで集まっていたときのこと。

 

私の弟も子どもたちもそこに居た。

 

食事が終わってくつろいでいた。

 

そのときに母がポツリポツリと話し始めた。

 

どちらかと言うと、私ではなく子どもたち向けてしゃべっていた。

 

「バーバはね。とっても身体が弱かったの。
だから、あなたたちのママが小さいときに抱きしめてやることもあんまりできなかった。
すごく寂しい思いをさせたと思っているの。
そのことを本当に申し訳なく思っている‥‥」

 

まるで、懺悔をするように、今までの後悔していることや、申し訳なく思っていることを私の横に居た子どもたち、つまり孫たちに話し続けていた。

 

当然、その場には弟も私も居るのだから、母の話は全て聞こえる。

 

 

積もっていた

 

 

 

 

 

 

 

私は、かなり変わった子どもで3歳くらいのときに「ゆーちゃん、一人でお風呂に入る。
一人で寝たい」と言って、それをさせてもらっていたらしい。

 

おまけに、赤ん坊のうちから父親に抱かれるとひどく泣いた。

 

まぁ、 人に触れられることが嫌だったわけだから、母が抱きしめてくれないことは、それは逆に私にとってはいいことだった。

 

だから、そういう部分で傷ついたり、悲しかったという記憶は一切ない。

 

そんなことより、母は私の人格を否定するようなことは決してしなかった。

 

変わった子だったし、アホみたいな子だから周りの人からはひどいことを言われても、母は「私はゆーちゃんがバカだなんて思ってなかったわ」とニコニコしながら言うような母だった。

 

つまり、私は母が長年、私や弟に対して、かわいそうな思いをさせてきたと、気にしていることを知らなかった。

 

「お母さん、私は寂しいとか、抱きしめてほしかったなんて全然思っていなかったよ。
むしろ、その方が良かったんだから‥‥」

 

そんなふうに言うと、母は「本当にそうだったの?
お母さん、ずっとすまなかったって思っていた。
ゆーちゃんがそう思っていたなら、安心した」

 

 

母は本当に安心したようだった。

 

 

母は子どもの頃からひどく病弱で、学校にもまともに行けないほどだった。

 

肝臓が悪く、いつも痛みと戦っていた。

 

余談だけど、しじみのおかげで随分良くなったせいか母は今でもしじみの味噌汁よく作る。

 

それがとんでもなくおいしくて、次男は食べるたびに絶賛する。

 

 

母がかかった病気はどれも重篤で、生きているのが不思議なくらいだ。

 

そんな母が一生懸命二人の子どもを育てた。

 

精一杯の愛情を注いで‥‥

 

それなのに、ずっと私たちに申し訳なく思っていたなんて思ってもみないことだった。

 

 

お母さん、十分だったよ。

 

気付くのは遅かったけど、あなたの愛情は知らない間に私の中に積もって行ったよ。

 

私はその愛を子どもたちに注ぐことができた。

 

愛を受け継ぐことができた。

 

ありがとう。