入院病棟見学

ドクターは親の会を紹介してくれただけではなく、こんなことも言った。

「このまま行けば、不登校、家庭内暴力、引きこもり、入院になります。ですから病院に行って下さい

かなりひどいことを言われているが、私にとっては入院は魅力だった。

永遠ではないが、一時でもケントから逃れられる。

それは私の一番の願いだった。

ドクターから「入院した方がいい」と言われたのだ。

つまり、ドクターからのお墨付きをもらったってこと。

夫とケントと3人で入院病棟を見学した。

そこには無表情の子どもたちがぼーっと並んでた。

異様な光景だった。

病院にはゲームは持って来れないと分かると、ケントは「こんなところ、絶対に嫌だ。病院に入れられるくらいなら、いい子になる」
と言った。

なんか、まるで入院を脅しに使ったみたいだけど、脅しではない。

真剣だった。

同じことを言い続ける

私は、長男に「いい子になれるものだったら、なってみろ」って思った。

ところが、ケントは言葉通り、ちょっとだけいい子なった。

でも、あくまでもちょっとだけ……

同じことを言い続けることは度々あった。

ある日、ガスファンヒーターが壊れた。

もう、夜だった。

「明日の朝、お店が開いたら直ぐに買って来るから」と何度も言った。

それでも、長男はまるで、本人も壊れてしまったみたいに「今すぐ買って来て」を繰り返し、言い続けた。

小学校の5年生だから、夜はお店が開いてないことくらい分かっているはずだ。

だいたい遅い時間だから、寒ければ、布団に入って寝ればいいのだ。

そう言っても寝ないで言い続けた。

その時は運悪く、毎晩そういうことが続いていた。

私にとっては拷問を受けているみたいだ。

どうにもならないことを言われ続ける。

そういうことが続くと、精神的に追い詰められるというか、精神的虐待を受けているみたいになる。

その日はとうとう、私は耐えきれず、長男の前で大泣きをした。

夫の言葉

ひとしきり泣いてから私は夫に電話した。

もう夜遅い時間だった。

私が長男のことを話すと、夫は黙って聞いていた。

その後、夫は思いがけないことを言った。

「おれが悪い」

意味が分からなかった。

「同じことを言い続けているケントが悪いんでしょ。
なんであなたが悪いの?」

「そんなに辛い思いをおまえだけにされているおれが悪い」

「そうよ、あなたが悪い!」

そう言って、私はまた、さんざん泣いた。

理解される

泣き終わると、なんだかすっきりした。

夫は私の気持ちを分かってくれた。

この辛さを誰も分かってくれないと思っていた。

毎日が辛くてたまらなかった。

「理解する」事には大きな力がある。

私は夫に理解してもらったと感じることで心が満たされた。

自分の心が満たされて、初めて私は長男の心が満たされているだろうかと考えた。

そう言えば、ケントの笑顔を最近見ていないな………

やっとスタートラインに立てた感じだった。

明日に続く

 

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