おれが怒ってやる

珍しく、ケントと二人でランチした。

 

三男のことで相談にのってもらった。

 

「おふくろ、分かってんだろ。
親父がグチグチ細かいこと言わないの。
あの人の教育方針、知ってるだろうが……
親父は言いたくないの。
本人に任せたいの。
だから、おれが怒ってやる。
今から家に行くぞ!」

 

そう言って、ケントは三男に説経するため、わが家にやってきた。

 

三男はケントが怖い。

 

なので、神妙に聞く。

 

三男が抱えていた二つの大きな問題にグイグイ、メスを入れた。

 

頭の回転、早い

 

行動、早い

 

この辺は衝動の強さがいい感じに働いていると思う。

 

 

言葉は相変わらず荒いけど、どなるわけではなく、けっこう教え諭している。

 

三男も静かに聞いている。

 

結論から言うと、二つの問題はかなり動き、ようやく先が見えてきた。

 

あんなに怒られたのに、三男はその後、機嫌が良かった。

 

自分でも、その懸案事項が気になっていたのだろうが、身動き取れず、苦しかったのだと思う。

 

むりやりねじ込んで、背中を蹴飛ばす勢いで、動くように
仕向けた。

 

ケントの助け舟は正直、ありがたかった。

 

再会

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、ケントは娘の中学校説明会に行った。

 

ケントが卒業した中学だ。

 

そこに、なんとケントがお世話になった通級指導教室の先生がおられた。

 

卒業してから10年しか経っていないのに、ケントは保護者として、現れたわけだ。

 

なかなかのインパクトだったと思う。

 

その先生がケントにパソコンでの高校受験を勧めてくださった。

 

中学でオール1を取り続けていたケントだが、通級指導教室のパソコン学習では、よく理解できていることが分かっていた先生は、ケントが理解できていないのではなく、書くことが嫌なのだと分かってくださっていた。

 

なので、パソコン受験を勧めてくださったわけだ。

 

その先生は、病院でのケントの検査結果を受けて「ケントの検討会」が開かれたときのメンバーでもあった。

 

そこでの結論は

 

「ケント君は、社会でやって行く力をもっている」だった。

 

残念ながら、そのときにケントの検討会を開いてくださったドクターはお亡くなりになった。

 

でも、メンバーの一人であった先生は、現在のケントを見ることができた。

 

 

このときの結論は、私たちに「肯定的な未来」を思い描かせてくれた。

 

 

話はちょっと飛んだけど、ケントはドクターたちがおっしゃってくださったように、立派に社会で働いている。

 

 

先生方が、導き出した結論を、ケントは裏切ることはなかった(^_-)-☆